カートをみる マイページへログイン ご利用案内 お問い合せ お客様の声 サイトマップ
RSS
 

オーナーAndyの情熱

オーナーAndyの情熱 ~100%のショーンバーガー~
2013年7月初旬。
いつものようにセントヒューバータス・エステイトワイナリーを訪れました。
オーナーAndyは、いつもニコニコ笑顔の人ですが、その日はいつも以上にニコニコでした。

そして彼は私をブドウ畑に案内してくれました。
そこは畑の中腹から少し下がったところでした。


「ここ!ここ! このラインだよ!」

7月に入ったケロウナは、この夏一番の暑さになるという予報の通り、35℃を超える強い日差しでした。
ブドウの葉はすでに大人の手の平以上の大きさになっていました。

葉と葉をかき分けて行くと、小さな粒を付け始めたブドウの房がたくさん育っていました。

「これ、ショーンバーガーさ!」

彼は得意気に私に語りました。

「ショーンバーガー!」

白ワイン品種のショーンバーガーは、芳醇で豊かな気品漂う香りに満ちているブドウ品種です。シャルドネ、ピノブラン、リースリングなどのメジャーな品種と異なり、世界的に希少な品種となっています。

ショーンバーガーの使い方は、香りを強めるためのブレンド用として使われるのが一般的です。

例えば、
リースリング95%+ショーンバーガー5%
ゲベルツトラミネール90%+ショーンバーガー10%

という具合に、あくまでも黒子的な存在として、フルーティーな香りを高めるために使われます。


彼 「ようやく出来たんだよ!」
私 「何が?」
彼 「ショーンバーガーのワインさ!」
私 「・・・・?」
彼 ーーーー満面の笑顔ーーーー


ひょっとして!?


「まさか! 100%のショーンバーガー?」

Andyは、ニコニコの度合いを更に強めて大きくうなずきました。


「そう! 100%のショーンバーガーさ!」


なななななななな、なんと! 
100%のショーンバーガー????

そんなの見たことない!
当然、飲んだことない!
どんな味か想像もつかない!

驚いている私を嬉しそうに見つめながら、Andyが言いました。

彼「じゃ、これからワインセラーに行ってテイスティングしよう!」
私「ええっ! 飲めるの?」
彼「ああ、特別にね!」



Andyの後を追いかけるようにブドウ畑からワインセラーに向いました。
真夏の太陽が照りつけ、35℃を超えているであろう熱い野外から、一転してヒンヤリとした空気に満ちたワインセラーに入りました。

「これだよ!」

Andyが取り出したボトルには、間違いなくショーンバーガーというアフファベットが記載されています。

私「これが100%のショーンバーガーか・・・」
彼「ショーンバーガーだけでワインを作るって言ったら、みんなが『無理、無理、やめとけ』って言うんだよね」

でも、Andyはチャレンジしたのです。こういうチャレンジする姿勢は、ケロウナ(オカナガン地方)のワイナリー独特のものです。

さて、そのショーンバーガーですが、このブドウ品種の特徴は、

・主張の強い高貴でフローラルな香り
・香りが強すぎるため味の弱さが浮き立ってしまう

というプラス面とマイナス面があります。
仮にショーンバーガーだけでワインを作った場合、香りは凄く良いけれども、味が無いという結末に陥ってしまうのです。

同じ系統の白品種の場合、香りと味のバランスが絶妙に保たれる、リースリング、ゲベルツトラミネール、エレンフェルザーに比べると、明らかにショーンバーガーは劣ってしまうのです。

従って、リースリングなどに香りを強く付けるために5~10%ブレンドするという目的で使われるのが一般的なショーンバーガーなのです。

彼 「じゃ、さっそく飲んでみよう!」
私 「(ドキドキ)」

2012年産ショーンバーガー

私は期待と不安で一杯でした。グラスに注がれたショーンバーガーの色をじっくりと確かめます。
氷のように透き通った色。混じりけの無い香りが漂うに違いありません。
グラスの縁に鼻を近づけます。

私 「!!!!!!!!!!!!」
彼 (ニコニコ笑顔)


ショーンバーガー100%の香りというのを初めて体感しました。とても優しい香りでありながら、貧弱さが全くありません。
この香りだけで十分なくらいです。

でも・・・・・・・・・?

私に不安がありました。
ショーンバーガーの香りは期待ができることは分かっていました。
問題は味です。
薄ぼんやりとした水っぽい味なんだろうなあ・・・ という不安が頭の中をよぎりました。

期待と不安が交錯しながら、透明なショーンバーガーを口に含みました。


私「!!!!!!!」
彼(ニコニコ笑顔)
私「なんだ!これは!?」
彼(ニコニコ笑顔)+(ニコニコ笑顔)


素晴らしい味わい!

その美味しさが突然襲って来て、波が引くように静かに消えて行く余韻が残るだけでした。

私「これはすごい! これ、どのくらいの生産量があるの? 次の出荷で日本に輸出したいんだけど!」

私が思わず発した言葉にAndyは、「う~~~~~~ん・・・」


私「生産数は少ないの?」
彼「うん、、、 とても少ないんだ・・・」

残念・・・


ケロウナ(オカナガン地方)のワインは、多品種少量生産という特徴があります。
無理矢理に大量生産しないので、結果的に地産地消っぽい流れになっていますから、カナダ国内はもとより州内で流通するワインは希少性の高い少量生産のワインは酒屋(リカーショップ)にすら並びません。

言い換えれば、カナダの酒屋に並んでいるワインは、分かりやすく言うと売れ筋から外れて余っているワインがほとんどなのです。

今回のこのショーンバーガーのように生産数が少なく、ワイナリーがこだわり抜いて作ったワインというのは、ワイナリーに行かなければ買えません。

目の前で試飲した初めての100%ショーンバーガーは、セントヒューバータス・エステイトワイナリーに行かなければ購入する事ができません。黙っていても品切れになることは明白なのですが、Andyの話によると、以前から取引のあるバンクーバーの高級レストランが、このショーンバーガーをまとめ買いする話が決まっているということですから、速攻で完売してしまうだろうことは十分に予想がつきます。

私「本当に良いワインだよね」
彼「気にってくれたかい?」
私「とっても!」
彼「それじゃ、1本プレゼントしよう!」
私「え~~~~~~~~~~~っ!」

ショーンバーガーを1本プレゼントしてもらえる!
ところが、次の瞬間、まったく予想外のことが起こったのでした。


「ショーンバーガーを1本プレゼントしよう!」

と言ったAndyの嬉しい言葉に、喜びを爆発させようと思った次の瞬間、とんでもないラッキーボーイが出現したのでした。



ちょうど日本から友人がケロウナに来ていたため、私は彼を伴ってワイナリーに日参していました。彼はワインに関しては全くの素人なのですが、それに加えて、

・カナダに来たのが初めて
・当然ケロウナも初めて
・当然セントヒューバータス・ワイナリーも初めて
・Andyに会ったのも初めて

何もかも初めてずくしでありながら、いきなり100%ショーンバーガーを試飲できてしまうということ自体、とんでもない幸運の持ち主であることは言うまでもありません。

しかも!!!

「ショーンバーガーを1本プレゼントしよう!」

と言ったAndy の視線の先は、私ではなく彼に向っていました。

「えっ? 僕じゃないの!」

友人は、たどたどしい英語で、「さ、さ、さ、さんきゅう~~」と最高に緊張しながら、Andyからショーンバーガーを受け取ろうとしました。

Andyの両手に大切そうに抱えられたショーンバーガーのボトルが彼の両手に渡されようとしたとき、

「ん? ちょっと待って・・・」

Andyが迷いながら躊躇しました。


私(Andy、そりゃそうだろう。渡す相手を間違っているよ。彼じゃなく僕でしょ!)

私はようやく安堵しながら、Andyの体が右90度に向きを変え、ショーンバーガーのボトルが私に手渡される次の動きを待つ体勢に入りました。


彼「せっかくだから、サインをしようね!」

そう言うと、Andyはサインペンをラベルに走らせました。
そのショーンバーガーのボトルは、オーナー直筆のサインが入った正真正銘の「シグニチャーワイン」になったのでした!!

なんと言う価値のワインになったのか!
そして私の期待を大きく裏切るかのように、ショーンバーガーのシグニチャーワインは、友人の手に渡ったのでした。

私は過去14年間で相当数の日本人のお客さんや友人知人をこのワイナリーにご案内しています。
数えた事はありませんが、おそらく1000名を超えていると思います。

これだけ貴重なワインを、しかもシグニチャーワインというボトルでプレゼントしてもらった人は彼だけです。

私の友人・・・
なんていう幸運の持ち主なのでしょうか・・・

ページトップへ